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2024.04.03お知らせ
向井理事長?学長 入学式式辞
二〇二四年度(令和六年度)福岡女子大学第七十五回入学式及び大学院第三十二回入学式 式辞
 
 本日ここに、福岡県副知事 江口勝様、福岡県議会議長 香原勝司様はじめとするご来賓各位のご臨席を賜り、ここに福岡女子大学及び大学院入学式を、一堂が揃って、挙行できますことを大変うれしく思います。
 
 学びの場を求めて遥か海外から来られた留学生を含む学部新入生249名、大学院生14名、お一人お一人を心から歓迎いたします。また、海外の交流協定校から派遣され、現代日本のポップ?カルチャーを対象とする国際プログラムに参加される14名の留学生、そして同じく協定校から学部受入交換学生として専門課程で学ぶ6名の留学生、あわせて20名の留学生が、この式典に参加されています。ようこそ福女大(FWU)にお越しくださいました。
 
 パンデミックによる学校の突然の休校措置とそれに続くオンライン授業など、激しい環境の波にもまれながらも勉学に励まれ、入学試験をくぐり抜けて、晴れて合格された皆さまに特別の祝意を、またお子様の志を支えてこられたご家族、そして支援を惜しまれなかった先生方には労いの言葉を表したいと思います。
 
 本学は、九州大学と共催で、ノーベル賞学者をお招きし、講演会を行ってきました。将来を担う若者に共同体験として、一流に触れ、一流を感じ、一流に感動していただきたいとの思いからです。そのお一人に、iPS細胞の発見によりノーベル賞を受賞された山中伸弥教授がいます。誰もがご存じでしよう。講演において、先生が大学生や高校生に示された言葉は、フォルクスワーゲンの車のエンブレムに象徴されるⅤとWの組み合わせでした。Ⅴ(vision)は「将来像」を、W(will)は「意思」を表しています。強い意思をもって、自身が掲げる将来の目標?ビジョンを実現することの大切さを訴えられました。実現の可否に関わらず、先ずは夢を描き、将来の姿をイメージする。初々しい夢は若者の特権です。そのゴールに向かって、少しずつ近づく努力を意識することが重要だと語られました。偶々、私は英語の教師として、中学?高校生時代の山中博士の姿を眺める機会がありました。いかなるビジョンをお持ちであったのか、内面を窺うよしもありませんが、背筋をピーンと伸ばして授業を受ける姿に意思の強さが表れていたと思います。入学という節目に、この助言を受け取り、自身の目標、なりたい自分を鮮明に描き、心に刻んでみてください。
 
 また、私が敬愛する国語学者に野地潤家先生がいます。先生は、「読みたい本は向こうからやってくる」「会うべき人は向こうからやってくる」という言葉を残されました。山中博士が促した、目標を掲げて生きる人、課題をもって生活する人には、心打つ言葉です。私自身も、研究生活の中で、ささやかながら「ユーリーカ」(やった!)と叫んだ経験は、一度ならずありました。発見や解明に至る過程で、鍵となる本や人との出会いは、こちらから探し求めたという印象は確かにありません。この感覚、この体験を「自身のなかにある自分との出会いだ」と語り直す人もいます。大学院で学ぶ方々にとっての二年あるいは三年、学部で学ぶ皆さんにとっての四年間に、V+Wのロゴを実践し、出会うべき本や一流の人との出会いをしていただきたいと思います。大学は学問的出会いの場、皆さんの成長を促す場を提供し、支援いたします。
  
 福岡女子大学も成長して、昨年、創立百周年を迎えました。女子だけの別学教育を行う本学には、独自の学校文化と教育ビジョンがあります。本学で学ぶ仲間として、是非、福女大の始まりを知っていただきたいと思います。私立大学には、学祖と呼ばれる学校の創始者がいます。たとえば、慶應義塾の福沢諭吉、早稲田の大隈重信です。なんとお二人は、それぞれ大分と佐賀のご出身、この九州の地から、日本を代表する大学が創設されています。では、本学はといえば、福岡の女性婦人たちがこの地に高い教育の場を求めて、立ちあがったところから誕生したのです。時の知事はこの運動に理解を示し、女子高等教育機関の設置を議会に提案しますが、否決されます。しかし数年の時を置いて再度提案し、晴れて公立として全国初の女子専門学校の創設が叶いました。一九二三年のことです。場所は、現在の県立美術館のある天神北の須崎地区でした。女性による女性のための学校です。この気概は、本学百年の伝統の底流に流れ、「ないものを描く、ないものは創る〈女性〉」という大学の人材育成像となっています。「次代のグローバル女性リーダーの育成」という教育の礎ともなっています。今なお女子大学であり続ける意思と力はここにあり、学生、教職員、卒業生の拠りどころとなっています。入学を果たされた皆さんにも、この福女大スピリットを持っていただくこと、これが本日の大きな約束事です。
 
 本学は、今や、文と理の統合教育、国際化、言語教育、そして初年次全寮制などの特色により、大学ランキングにおいて、日本の大学の中で四十五位、また七十二ある女子大学にあっては第二位の高い評価を受けています。入学を勝ちとられた皆さんには、これを誇りとしていただき、高い志を掲げて、先輩たちが築いてきたこの評価を一層高めるよう充実した学生生活を過ごしていただきたいと思います。その際、男女共学の大学になくて、女子だけで学び合う、本学の強みを意識した上で、生活されることを求めたいと思います。
 
 そのヒントは、本学が社会人女性を対象に主催する研修会において、参加者が述べた感想の中にあります。

〈引用〉
「… 女性だけを集めることの意味、それって本当に正しいのかな、というところを含めて、最初はどうなのかなと考えていましたが、この空気の中で、不安の要素なく発言ができて、すごく共感してもらったりしたことが、非常に大切な経験だったなあ、と思います。自分に気づくきっかけになったというか。
 その一方で私たちが実際に社会に出ていくときには、こんなに恵まれた環境ではなく、ほぼほぼ男性社会の中でどう振舞っていくかというところが、実践になっていくのかなと思うと、教わったことを活かしつつも、自分自身の環境のなかで、これを応用していかないといけないなと思いました。???」 
 
 女性だけが集まる安心?安全な環境で、各人が持つ潜在能力を互いに共感しながら引き出しあい、女性同士でためらいなく男性中心の社会のありようを観察し、課題を得て、時にリーダーとなり、時にはフォロワーとなるリーダーシップを身につける場が女子大であることを教えてくれています。男性がいれば、遠慮が働き、女性は行動の中心になることにためらいがちです。しかし、女子大にあっては、女子が率先して発言し、行動しない限り、事が前に進まないのです。世の中は、今なおホモソーシャルな社会です。それを自覚の上、在学中に冷静な目で社会を観察し、課題をみつけ、言葉を鍛え、発案することを覚え、そして行動スタイルを身につける、そのような場として福女大を意識していただきたいと思います。
  
 最後に、福女大独自のコンセプトを紹介し、共有していただきたいと思います。一つは、FWU on the Moveの合言葉です。学生、教員、職員、卒業生の四つの輪が一緒になって駆動する福女大の姿を表しています。大学の躍動に、学生の皆さんが中心を担う気持ちをもって、積極的な参加をお願いします。今一つは、福女大は、アカデミック職能集団としてのギルドである、という意識です。ギルドのメンバーとなった皆さんには、他にはない特権が待っています。福女大ギルドの誇りを持ち、寮生活を通して仲間意識を強く持ちながら、豊かで刺激に富む学生生活を過ごされることを祈念して、式辞といたします。 
                                    
令和六年四月三日
      公立大学法人福岡女子大学
   理事長?学長 向井 剛 
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